2024年4月26日(金)

対談

2016年2月24日

飯田 衰退国側に落ちたのがアルゼンチンです。「母をたずねて三千里」のマルコのお母さんはイタリアからアルゼンチンに出稼ぎに行っていたわけです。当時のアルゼンチンはそれくらいの大先進国だったのに、気がつけば現在のような経済状況になってしまった。市街地に残っている建物の多くは文化財級ですが、それは衰退以降に経済発展が起こらなかったことの証拠でもあります。アルゼンチンの凋落を独裁政権と規制で説明する人は多いのですが、独裁政権で規制だらけでも成長する国はしますし、むしろ階層分岐で需要制約を打破できなかったんじゃないかという気がしますね。

国策でクリエイティブクラスは育つのか

井上 シンガポールなどは開発独裁ですからね。むしろ開発独裁が有利なのかなって気さえしてきます。

飯田 差し障りのある言い方をすれば、国家が強制的に教育してクリエイティビティを厚くしないといけないのかも知れない。「開発独裁型クリエイティブクラス」ってほとんど形容矛盾ですが(笑)。

井上 危機感はすごく伝わりますね(笑)。私は量的にも質的にもクリエイティブクラスが分厚い社会を「高度創造社会」と呼んでいますが、政府や政党には「高度創造社会を目指す」といったキャッチコピーを掲げてほしいですね。つい「人工知能を導入した国」と「導入しない国」といった対比で議論しがちなのですが、そこに「クリエイティブクラスを増やすための再分配政策をした国」「再分配しない国」の対比も合わせないといけない。再分配しない国は人工知能が発達したところで、成長率が伸び悩み結局は衰退国になってしまうかも知れません。


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