2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2016年2月27日

社員のモチベーションは保てるのか?

 また、心配されるのは、買収された企業の社員はモチベーションが下がりがちになることだ。鴻海傘下に入ることが決まった25日の夕のテレビに映されたシャープ社員は「頑張るだけです」と気丈に答えていたが、内心は不安でいっぱいだろう。その中で会社は異なるが、シャープのブランド力を守るために、社員がやりがいをもって働いていけるかどうか。

 技術者もいままでと同じ気持ちで製品開発にまい進できるかどうか。さらに自分でヒット商品を生み出したことのない鴻海の経営者が、シャープの技術を売れる商品に結び付けられるかどうかなど、やってみなければ分からない部分が多くある。

 鴻海とシャープが一丸となって製品開発に努力せざるを得ないが、パネルの分野は技術革新の最も速い分野だけに開発のタイミングを見誤ると命取りになりかねない。並の技術を使ったパネルは、韓国、中国勢にすぐに追いつかれ、コスト競争で負けてしまい採算が取れない。韓国・中国勢が束になって挑んできても、当分は勝てないくらいの革新的な技術を内蔵したパネルを組み込んだ製品に仕上げていかなければ勝ち目はないといえる。一代で鴻海をこれだけの巨大企業に育てた郭台銘会長だけに、ここはその百戦錬磨の経営手腕に期待するしかない。


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