起業家精神の本質は“努力すれば報われる”
私は気になる。なぜ、そこまでしてビジネスにコミットするのか? それなりに富を築いた彼は、エンジェルとして投資をして悠々自適に暮らせる選択もできるはずである。後は任せるタイプもできる。投資という意味で「賢い」というのは、何もしないで勝手に投資先が育っていくことである。しかし、彼はシリアルアントレプレナーとして、今もなお、そしてこれからもビジネスに関与し続けようとするのだろうか。
「一生懸命努力することで報われる」
私は、この一言こそが、彼の起業家精神の本質なんではないだろうか、と感じだ。彼にとっては、努力の矛先が、「新しいものをつくる」という彼の好きなことであり、彼にとっての幸福論なのだ、と感じだ。
最後に、私は日本とドイツの類似性にも聞いてみた。Timは、ドイツと日本は仕事に対する姿勢がとても似ているという。時間は厳守するし、ビジネスパートナーへの気の回し方は、日本以上のホスピタリティに溢れる。これは、私も彼らと仕事を一緒にして感じることである。一方で、違うなと感じるのはグローバルな素養だ。日本人は英語を流ちょうに使いこなせず、結果的にコミュニケーションロスを産み出してしまっている。
今こそ日本の起業家や投資家は、彼に学ぶべきではないだろうか。日本からも、投資だけではなく、事業創造を行い、そこに日本の人材が海外進出する機会をも創りだす。日本人が持つきめ細やかさ、そして勤勉さは、世界に類を見ない誇るべき価値だ。ここにグローバルな素養と、殻を破る勇気を備えれば、日本からも世界にインパクトを与える起業家をもっと輩出できるのではないか――。
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