2024年6月17日(月)

ASEANスタートアップ最前線

2016年3月7日

 1986年生まれ――今年で30歳を迎える歳だ。日本のスポーツ選手ではダルビッシュ、芸能界では亀梨和也や篠田麻里子が有名だ。「人材豊富」と言われる86世代――実は、こちら東南アジアのスタートアップにおいても猛者がたくさんいた。その中の一人がTim Marbach。マレーシアに住むドイツ人だ。現在、Asia Venture Groupというベンチャービルディングタイプの投資会社を経営しながら、優れたスタートアップをいくつも立ち上げている。

 良き友人でもあり、良きライバルでもあるTimに、私は今回インタビューをお願いしてみた。ドイツ人の彼が、いかにして富を創り、なぜ、マレーシアに渡り、今もなお新たなチャレンジに挑み続けるのか。彼の起業家精神に迫る。

ドイツの片田舎から名門校に進学

 Timは、産まれが裕福だったわけではない。ベルリンから離れた郊外の町で、教師の母、そしてエンジニアとして働く父の下、ごく普通のドイツ家庭の一人として産まれた。決してインターナショナルな環境ではなく、ドイツ郊外というドメスティックな環境で育った。私が、何が起業家精神を形作ったのか? と聞くと、彼は、町の特性と宗教の影響が大きい、と答えた。

 ポルシェにフォルクスワーゲン、BMW――ドイツは言わずもがな欧州最大の工業国家だ。Timが産まれた町も、工業都市だった。「何か新しい物を創る」という考え方は、町中に根付いているという。加えて、Timはプロテスタントを信じる家庭に生まれた。幼少の頃より、「一生懸命取り組んだ人は必ず報われる」と教えられたという。

 高校時代は、勉強に勉強を重ね、ドイツ国内では最も優秀な経営学を教えるというOtto Beisheim School of Managementに進学する。男子9割、女子1割というほぼ男子校な環境でビジネスの基礎を学んだ。ここで彼は、将来のビジネスパートナーとなるKai Kux(現在Asia Venture GroupのManaging Director)と出会う。といっても、在学時は、起業への意欲はそこまで強くなかったという。投資銀行に就職してアメリカでMBAでも……というビジネスエリートにありふれたキャリアを考えていた。


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