来年ヨーロッパサット・Hellas-sat3衛星打ち上げをファルコン・ヘビーで予定していたインマルサット社は、「バックアップ」としてインターナショナル・ローンチ・サービスのプロトンロケットを抑えた。プロトン側もインマルサットの予約を認めているが「打ち上げる衛星の詳細は知らされていない」としている。
今年2月にはカリフォルニア州のビアサット社が、やはり来年4月打ち上げ予定のコンスーマー向けブロードバンド通信衛星を、ファルコン・ヘビーからヨーロッパのアリアン5に変更する、と発表した。
顧客を失う結果につながる可能性
スペースXではファルコン・ヘビーのテストフライトを今年夏に予定しているが、ブースターの着地にこだわり開発がさらに遅れると、顧客を失う結果につながる可能性がある。
SESはスペースXの重要な顧客であり、「同社の姿勢に理解を示し計画延期にも同意」してきた。今回の衛星打ち上げは、本来昨年9月に予定されていたもの。今年中にあと2回、17年にも2回の衛星打ち上げをファルコン9もしくはファルコン・ヘビーで行う予定だ。
このため、世界中の衛星運営会社が今後のSESの動きに注目している。バックアップを求めず、スペースXの「着地成功」に賭けるSESが、もし他社に乗り換えるようなことがあれば、スペースXはかなりの窮地に立たされることになる。
本気で火星ロケットを計画しているマスク氏にとって、まずはファルコン9、ファルコン・ヘビー、そして大量の衛星打ち上げを成功させ、世界を納得させることが次のステップへの最低条件となる。
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