その後のバンクーバー以降の回も、私が見たものはどれも番組の最後の締めは『故郷』でした。すべての出演者が『故郷』に涙していました。日本の中にいると、ふるさとは日本の中の地方ですが、外国の日本人から見れば、“日本そのもの”がふるさとです。
『故郷(ふるさと)』 1. 兎追ひし かの山 2. 如何(いか)にいます 父母(ちちはは) 3. こころざしを はたして ※『ふるさと』・・・1914年(大正3年)、尋常小学唱歌 第六学年用に登場。
小鮒(こぶな)釣りし かの川
夢は今も めぐりて
忘れがたき 故郷(ふるさと)
恙(つつが)なしや 友がき
雨に風に つけても
思ひいづる 故郷
いつの日にか 帰らん
山はあをき 故郷
水は清き 故郷
作詞は高野辰之氏、作曲は岡野貞一氏とされる。(出典:wikipedia)
「友」ではなく「友がき」
この2番の歌詞に出てくる「友がき」という言葉が、私は好きです。単に「友だち」ではなく「友がき」――たくさんの友が、一人ひとりはランダムで不規則な個性をしていて、なんの関連もないのに、全体としては着実に美しく積み重なり、自分一人だけというお城の基盤になってくれる。それはあたかも石垣のようだ――だから「友がき」なのだろうと私は自分勝手に理解しています。
これまで「高校同窓生からみた亀井静香氏(その1)、(その2)、(その3)、(その4)」で紹介してきた、亀井君、下 壮而(しも・そうじ)君、渡辺 蔚(わたなべ・しげる)君は、みんな私にとって大切な「友がき」です。
もう一人、みなさんに紹介したい高校時代の同窓生――「友がき」――がいます。谷口博一君です。
彼とは、大泉高校時代3年生のときは同クラスでした。優しい彼はいつも「オレはペーパーテストが苦手だから、将来体を使う仕事に就きたい」と言っていました。そして冬の小春日和のときは、いつも校門の左横の大きな芝生の上で、数人の友人と力道山の真似をしてレスリングごっこをしていました。私もその片隅にいました。
谷口君は日本体育大学に入り、レスリング部で頭角を現し、4年生のときはオリンピック選手の直前までいく実力をつけていました。