赤坂英一の野球丸

2016年3月16日

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 宮城野部屋で話を聞くとき、白鵬は昭和のころの古い相撲雑誌を持ってきた。「白黒の写真がいいんだよ。相撲の伝統を感じるじゃない」と言ってページをめくりながら、日本やモンゴルの歴史について語るのである。

沖縄とモンゴルの歴史的なつながり

 沖縄巡業へ行ったとき、いろいろ興味深い話を聞いた。「沖縄は昔、琉球と言って、日本とは別の国だったでしょう。そのころ、モンゴルの王様と琉球の王様は、交流があったんだってね。お互いの子供を結婚させて、親戚づきあいをしてたそうなんだ。面白いね」

 歴史の知識の豊富さと言い、日ごろの礼儀正しさと言い、白鵬は若い日本人力士よりもよっぽどしっかりしていた。率直に言って、感服した。が、そうした取材を続けるうち、どれほど日本に馴染んでいるようでも、白鵬はやはり外国人なのだという印象が強くなっていった。それを最もはっきりと感じたのは、モンゴルの首都ウランバートルにある白鵬の自宅マンションを訪ねたときのことだ。

 盛大な晩餐会が開かれ、次から次へと親戚や友人がやってくるたび、白鵬は彼らと抱き合い、両方の頬にキスして、度数の高いウォッカをショットグラスで一気飲みしていた。その白鵬と父親のムンフバルトさんに対し、引退して部屋を持つには日本国籍を取得しなければならない、将来日本人になる気はあるのかと質問すると、「そんな話はまだ早い」と親子そろって強い拒否反応を示した。

 今場所は白鵬、鶴竜がそろって初日に土。彼らが終盤の勝負どころ、琴奨菊戦に向けてどのように巻き返すのか、注目したい。

  
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