筆者 「トランプ候補の特徴を挙げて頂けますか」
コノリー 「トランプは、工場が閉鎖したために職を失い、不平がある有権者に対しては、北米自由貿易協定(NAFTA)が悪いと言います。環太平洋経済連携協定(TPP)はとんでもない貿易協定だとし、オレに任せればもっと良い取引をしてやると断言します。不法移民が増加し、白人の人口の割合が減少していくことに対して恐怖心を抱いている有権者には、メキシコ系をスケープゴートにして国境に壁を作れと言うのです。
ヒラリー(クリントン)が詳細な解決策を提示しているのとは対照的に、トランプはストレートでシンプルです。サンダースもトランプに似ています。トップ1%の富裕層が経済を牛耳っていると述べ、ウォール街をスケープゴートにして非難するのです。若者が、授業料が高いために学資ローンを組み、返済が大変なことに不平を漏らせば、サンダースは公立大学授業料無料化というシンプルな解決策を出すのです。トランプとサンダースにはもう一つ共通点があります。2人とも貿易協定を非難して票を獲得しています」
筆者 「トランプ候補の支持者の特徴は、白人男性の低所得者以外にありますか」
コノリー 「トランプの支持者の中には、アメリカとメキシコの国境に作る壁の費用をメキシコ政府に支払わせることや、イスラム教徒を全面的に米国に入国させないことを、非現実的であると理解している支持者がいます。しかし、彼らは反移民、反イスラム教徒です。残念ですが、共和党支持者はイスラム教徒に非好意的です。たとえ提案が非現実的であっても、トランプが彼らの意見を代弁してくれているので支持するのです」
筆者 「クリントン候補は、どうして白人の男性に人気がないのですか」
コノリー 「第1に、一般に白人男性は、共和党に投票する傾向があります。第2に、白人男性は、ヒラリーの性格が嫌いなのです。第3に、女性が大統領になることに不快なのです」
筆者 「トランプ候補が指名を獲得しますと、本選ではヒスパニック系が多いコロラド州、ネバダ州、ニューメキシコ州は激戦州にならないと思います。というのは、トランプ候補に対するヒスパニック系の好感度は低いからです。トランプ候補の支持基盤である低学歴の白人労働者が多い中西部ミシガン州、オハイオ州、ウィスコンシン州や東部ペンシルべニア州が激戦州になる可能性が高いと予想しています」
コノリー 「トランプは、ラストベルト(さびついた工業地帯)を狙うでしょう。そうなると、ヒラリーは西部でヒスパニック系の票を取れるので、副大統領候補にカストロ住宅都市開発長官を指名する意味がなくなります。私は、副大統領候補にティム・ケイン上院議員(民主党・バージニア州)が指名されることを祈っています。トランプは、驚くような候補を指名するでしょう」