2024年4月23日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年4月4日

 さらに、離脱は英国自体の分裂を招く可能性がある。親EUのスコットランドは、英国のEU離脱が決まれば、再度国民投票を行い、今度こそ独立しかねない。北アイルランドも、アイルランドと英国が共にEU加盟国であることが和平の礎であっただけに、不安定化する可能性がある。

英国の離脱はEU弱体化をもたらす

 欧州の指導者たちも、英国が離脱すれば、難民問題やユーロ危機で既に窮地にあるEUは弱体化するとわかっている。世界第5位の経済大国を失えば、EUは、①より貧しくなり、②ドイツの支配力が強まり、③リベラル色が薄まり、④保護主義が強まり、⑤内向きになるだろう。欧州と米国の関係も希薄になる。何よりも、英国の軍事力と外交力を失ったEUは著しく立場が弱まる。

 今やEUは西側の外交・安全保障政策の重要な担い手だが、英国抜きでは、イスラム・テロについても、対露制裁についても、十分に役目を果たせない。プーチンが離脱に強く期待し、オバマが危機感を抱くのも当然だ。

 このように国民投票に向けて現在進行中のレースには多くのことがかかっている。EU懐疑派は、英国の離脱は欧州や西側をも弱体化させてしまうことを認識しなければならない。この重大な賭けにキャメロンが負けるようなことになれば、損失は広範囲になろう。

出 典:Economist ‘‘The real danger of Brexit’ (February 27-March 4, 2016)
http://www.economist.com/news/leaders/21693584-leaving-eu-would-hurt-britainand-would-also-deal-terrible-blow-west-real-danger

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 上記の社説は、英国がEUを離脱した際の問題点を網羅的にまとめて論じています。

 EU離脱は、経済面、安全保障面で英国にとってマイナスであり、またスコットランドの独立を招きかねない、と言っています。


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