2024年11月22日(金)

野嶋剛が読み解くアジア最新事情

2016年4月1日

 政治を観察してきてはっきり言えるのは、一寸先は闇ということである。8年前に輝いていた馬英九総統の今日の低落を想像した人は台湾にも海外にも一人もいない。朱立倫氏には確かに次の総選挙の2020年がチャンスとして残されたかも知れないが、国民党自体が壊れていては立候補する意味すら失ってしまうだろう。

不確定性こそが政治の本質

 「待ち」を選んだ3人を結果的に押しのけて候補者の座を掴み、引きずり降ろされたとはいえ、再び国民党のトップの座に選ばれたのは結局、自分から手を挙げた洪秀柱氏だった。その不確定性こそが政治の本質であり、高度に情報化されてネット世論が主導する傾向を強める現代政治では、むしろ「待ち」を選ぶほうが失敗する確率が高いことを3人は心に刻むべきではないだろうか。

 洪秀柱氏氏のもと、国民党がさらなる党勢低迷に陥り、辛亥革命以来のアジア最古レベルの政党の寿命が尽きたとすれば、その大責は、紛れもなく、「3人の臆病者」である王金平、朱立倫、呉敦義の各氏が負うべきである。
 

  
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