世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年4月8日

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 本論評は、中国の対外援助の限界と問題点を指摘していて、的確な内容となっています。中国の対外援助は、約束した内容が果たして守られるかどうか、中国の「紐付き」援助は被援助国の利益にどれほど役立つか、という点に収斂します。

 タンザン鉄道のような特例を除けば、中国が対外援助活動に乗り出したのは1990年代後半以降のことです。それまでは、自らを「開発途上国の代表」と位置づけてきたのですから、短期間に主要援助国のメンバーになることは容易ではありません。

中国援助の限界を認識していない被援助国

 政治的考慮から被援助国に対して約束はするが、それを技術的に厳格にフォローするだけの経験もノウハウも欠如しているというのが実態でしょう。また、主要先進国が合意しているOECDの対外援助の諸条件を中国は受け入れていないので、それに縛られることはありません。

 ハリントンの指摘するように、今日の中国の借款の半数以上は「紐付き」援助です。また、ランド研究所の調査が示すように、中国の対外援助と公式ファイナンスの80%以上が中国への資源輸送のために使われる道路、橋、港湾の建設であるという点は示唆的です。中国経済の失速状況は、これら対外援助の限界や問題点を浮き彫りにする可能性があります。

 被援助国がそのような中国援助の限界を十分に承知したうえで中国からの援助を受け入れようとしているとは思えない、というのが今日の実情でしょう。その典型的な例の一つが、インドネシアにおける高速鉄道建設の事例です。
議論の多いAIIBについても、国際金融機関としての責任ある役割を果たしうるかどうかについては、今後の具体的援助プロジェクトの進展ぶりを見てから判断すべきものと思われます。

  
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