原油・天然ガスの生産増と原油価格の下落を受け、米国では原子力発電賛成の比率が徐々に低下していたが、今年3月に発表されたギャラップの調査では、原子力反対が賛成を上回るようになった。図-4に原油生産量と原子力発電への賛否の推移を示しているが、原油生産量の増加に連れて賛成が減少していることが分かる。
なぜ高齢者の反対が多いのか
高齢者の原子力発電への反対が多い国は、世界でも珍しいようだ。先日英国から原子力政策に関する関係者が来日した折に、英国の事情を尋ねてみたが、英国では年代により原子力発電への賛否が異なることはないとのことだった。
また、米国でのギャラップによる2012年の世論調査では、原子力発電に賛成は57%、反対が40%だが、年齢別では18歳から49歳が賛成53%、反対44%、50歳以上になると賛成61%に対し反対34%になる。
日本で高齢者の反対が多い理由は推測するしかないが、英国の関係者は、日本の高齢者は小学校時代に原爆に関する教育を受けたことがあり、原爆とイメージが重なっている部分があるのでないかとの意見だった。そのため高齢者はデメリットを大きく評価している可能性がある。