最近、カリフォルニアの日本食材などを販売しているスーパーでは、日本からの輸入米販売スペースが年々大きくなっています。そして、かつては非常に高価(キロ当たり500円を超える値札のついた商品)な日本の有名ブランド米や、日本の代表的な品種をブランドにした、日本のコメ産地の5キロ入り袋の販売が増えています。
店頭販売価格はカリフォルニア産コシヒカリ製品の価格より、10%程度低い価格で販売されています。アメリカに持ってきても、ここまで低価格で販売できるようになったのかと感じつつも、いつもの癖で袋に表示されている産地・産年・精米年月日・販売者・輸入業者などについての情報を、消費者以上に細かく見てしまいます。
カリフォルニア産より安い日本産のコメ
少々驚いたのは、カリフォルニア産コシヒカリ白米がキロ当たり平均4ドル強に対して、約20%低いキロ当たり3.5ドル前後で売られてる「日本産コシヒカリ」がありました。
詳細表示を見ると、平成26年産米・2015年末精米(収穫後1年以上経過して精米され、精米後4カ月経過した日本産白米)・「○○産コシヒカリ」がパレットに積まれて、特売アイテムとして並んでいました。
現在は日本での玄米保管も低温で行われ、白米も低温できちんと保管すれば品質も大きく劣化しません。たとえ古米とはいえそれなりの食味は保てると思います。しかし、この表示をよく見て内容を理解して購入している消費者が、どの程度いるのか疑問もあります。
この製品以外にも、平成27年産米・2015年10月精米(精米後6カ月経過した日本産白米)も、並んでいました。これらの製品は日本の小売り販売用に精米された、製品だと思います。表示が日本の小売り販売用であり、アメリカ市場向けに必要な表示内容は、取って付けたラベル表示でした。
勝手に推測すると、「日本市場向けにいったん精米を行い、店頭で販売されたかあるいは販売されなかったかは不明ですが、精米後、数カ月後にアメリカに販売された」。あるいは「日本で売り損ねた製品をアメリカ向けに輸出した」とも、いえるかと思います。アメリカでは白米を販売するときに、生産年の表示は義務ではありませんし、品種の表示も必要ありません。単純に購入期限(精米後1年間)や製品の成分分析表の表示があれば、販売可能です。カリフォルニア産コシヒカリの製品も、回転の良くない製品は精米後数カ月を経過しているものもありますが、精米後6カ月経過した商品は、なかなかみません。
日本政府の「農産物輸出拡大計画」の中で輸出量が増加している日本産「おいしい米」のはずですが、非常に残念なものを見てしまったように思います。少なくとも私がかかわって輸出をしようとする日本のコメは、「本当においしい日本産のコメ」であることを目指します。日本から輸出販売をすることで、「日本のコメ」の「おいしさや良さ」を示す努力もしなければならないと実感した、アメリカ途中下車のエピソードでした。
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