チャイナ・ウォッチャーの視点

2016年4月26日

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小原凡司 (おはら・ぼんじ)

笹川平和財団 上席研究員

1963年生まれ。85年防衛大学校卒業、98年筑波大学大学院修士課程修了。駐中国防衛駐在官(海軍武官)、防衛省海上幕僚監部情報班長、海上自衛隊第21航空隊司令などを歴任。IHS Jane’s、東京財団研究員などを経て現職。

 中国は、自国の主権を主張する海域における原子力発電所の上空を飛行禁止にするかもしれない。また、規制がなくとも、通常、パイロットは、原子力発電所上空を飛行しない。航空機は、原子力発電所に墜落する場合だけでなく、部品等を落下させるだけでも、大惨事を引き起こす可能性があるからだ。

中国の過分の主権を認めない

 米国は、「中国の過分の主権を認めない」という立場を変えることはないだろう。しかし、南シナ海を飛行する搭乗員たちには、心理的な圧力がかかる可能性もある。東日本大震災の際に生起した福島第一原発の事故は、改めて、原子力発電所の事故の影響の大きさを世界に知らしめた。

 中国は、南シナ海に原子力発電所を設置することで、哨戒飛行を行う航空機にコストを強要することができ、もし、上空を飛行された場合に、「危険な行為」として非難するだろう。しかも、海上に浮いて移動できる原子力発電所は、中国にとって都合の良い場所に設置し、その場所を変えることもできる。
中国が南シナ海に原子力発電所を設置することによって、日本や米国が考慮しなければならなくなることがさらに増えることになる。
 

  
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