2024年11月22日(金)

ASEANスタートアップ最前線

2016年5月19日

 ベンチャー企業への投資も積極的に行っているようで、アイディア段階から事業化段階まで、ステージに合わせて資金援助をしているそうである。これ以外にも、コワーキングスペースの提供、アクセラレーションプログラムの開催、人材採用や企業との提携支援、ピッチコンテストなども盛んに行っている。今週は、 マリーナベイサンズでInnoveFestという大規模なスタートアップイベントも主催している。

 これだけでも十分に手厚いサポートだが、正直、これらのプログラムやイベントは、他の大学でも実施しているケースがある。それでは、NUSを特別なものにしているものは何だろうか。

驚異の留学システム

 今回、取材を通して、NUS Oversea Collegeという起業家志望の学部生向け長期交換留学プログラムに特色があることがわかった。これに参加を許された学生は、欧州、中国、イスラエル、もしくは北米のどこか一カ所を選び、1年間著名なスタートアップで有給のインターンシップの機会を与えられる。同時に、パートタイムとして、トップスクールに交換留学できるのだ。

 たとえば、米国だとスタンフォード大学とニューヨーク大学、中国では清華大学や復旦大学など、世界のトップスクールばかりだ。受講する授業も指定されている。たとえばスタンフォード大学でのプログラムの場合、”The Spirit of Entrepreneurship”(起業家精神)や、” Global Entrepreneurial Marketing” (グローバル市場におけるスタートアップマーケティング)などである。

 無論、これは学部公認のプログラムのため、インターンシップ、並びに座学両方で単位を稼ぐことができる。トップスクールに学費を払う必要はない(NUSへの学費のみ)。むしろ、インターンシップのため、給料が支払われる。その給料で、滞在費の大部分を賄うことができ、実質追加コスト無しで海外の最先端マーケットでスタートアップの実践的な訓練を積むことができる夢のようなプログラムなのだ。

 短期的な視察旅行はどこの大学でもやっていることであろう。私も大学院時代、シリコンバレーに一週間ほど行かせて頂いた。一週間でも大分刺激をうけたものだが、仮にこれが一年間だとすると……もうワクワクが止まらない。ましてや、日本よりも産業発展的には遅れている東南アジアからの学生からすれば、その刺激は何倍にでも増すに違いない。


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