2024年6月17日(月)

ASEANスタートアップ最前線

2016年5月19日

NUSの起業家プログラムは日本でも実施できるのか

 驚くべきことに、年間100名もの学生をこのプログラムを通して世界中に派遣している。信じられるだろうか。さすが、シンガポール政府が全面的に支援するシンガポール国立大学だけのことはある。驚くべき成果が出ていることは言うまでも無い。99.coAll deals asia
Zopinn、Tencube、そして本連載第二回目でも採り上げたFunding societiesなどなど、注目される数多くのスタートアップがNUS Oversea Collegeの卒業生によって起ち上げられている。

 Tedと話しているうちに、このスキームが日本でも機能するのか、という議論になった。日本人を仮にシリコンバレーのスタートアップに1年間働かせてみるということを想定してみたが、そのままモデルを実行するのは難しそうだ。まず、絶対的にそれに耐えうる英語力を持つ学生があまりいそうにない。エンジニア職ならまだしも、現地でクライアントとやりとりするビジネス職では、いわゆる上級英語では物足りなく、ネイティブ並の英語が必要だ。

 社会人経験のない学生を受け入れるメリットが企業側になさそうだ。加えて、多様性溢れる環境への適応力も問題になるだろう……というトピックも出た。幼いころから色々な人種と一緒に教育を受けてきたシンガポール人は、例え異国の地でも、環境適応する(周りに溶け込む)スピードが速いという。均質的な社会で育った日本人はその点で苦労するだろう……ということだった。

 意見が一致したことは、起業家を育成する一番の要素は、ギャップを創りだすこと、である点だ。今の自分と移動先で出会う人々との間で、ギャップを感じることである。スケールのでかさ、所得の差、技術の差、色々なギャップがあるが、このギャップを感受性豊かな内に経験することである。このギャップが、使命感であれ欲望であれコンプレックスであれ、モチベーションに転化する。ギャップは大きくて深ければ、それだけ大きなモチベーションを産み出すことは、どうやら一つキーとなる要素のようだ。日本の大学教育関係者は、今こそシンガポールの事例を参考にしてほしい。
 

  
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