2024年4月25日(木)

イノベーションの風を読む

2016年6月3日

イノベーターも死滅しかかっている

 イノベーションを可能にする組織をつくろうとする企業が増えてきたが、成果主義の企業でイノベーションを起こすことができる人材は育っているのだろうか。相次ぐリストラが、イノベーターを流出させてしまってはいないだろうか。

 革新的なことを生み出すには、人が気付かない問題やアイデアを見つけて、それに取り組むことに喜びを感じるといった内発的な動機づけが必要だ。「目標を達成すれば報酬を与える」といった外発的な動機づけによって働くことに慣れてしまうと、内発的な動機づけで行動しようする気持ちは失われていく。残念ながら成果主義で高い評価を得たエリートに、イノベーションを生み出すことは期待できないだろう。

 企業の利益の80%は、20%の社員によって生み出されているという。そして20%の社員は働いていないともいわれる。成果主義で「働いていない」と評価された社員は、人が気付かない問題やアイデアを見つけて、密かにそれに取り組んでいるのかもしれない。そのようなイノベーターを死滅させないためにも、米国の仕組みを安易に模倣しただけの成果主義は捨てて、大切な社員を重視する人事制度を構築すべきだ。

  
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