コーランを引用し正当化
ISの奴隷となっている女性はその大半がイラクの少数派ヤジド教徒だ。約5000人が奴隷になっているとされ、ラッカなどの奴隷市場で売買が行われてきた。国連が入手した売買価格表として報じられるところによると、1歳~9歳の子供165ドル、若い女性124ドル、40歳以上の女性41ドルとされる。
イスラムの聖典コーランには「右手に所有する者(奴隷)」という表現で、奴隷の所有や奴隷との性交渉を容認すると受けとられる一節がある。ISはこれを金科玉条のごとくに掲げ、イスラムの開祖ムハンマドの時代には奴隷や奴隷市場が存在したことを強調して、自分達の行為を正当化している。
ISは昨年、戦闘で捕虜にした者が非イスラム教徒であったり、背教者とみなされるイスラム教徒であった場合は、性奴隷として容認するという声明を出している。奴隷市場のもようを映した映像などでは、参加者から「神の許しにより分け前を得る」と言った発言が飛び出している。
こうしたISのおぞましい行為は許し難い。人道支援団体は女性への虐待がネット・オークションにまで広がったことに懸念を深めている。国際社会が本腰を入れてISの壊滅とともに、捕虜になっている女性らを早急に救出する動きを強めなければ、彼らの悪行は残虐になる一方だ。
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