2024年7月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年6月23日

 ケーガンは、トランプが大統領になると米国はファシズムになると断定していますが、これは言葉の綾で、なる恐れがあるとの警告です。民主主義については、チャーチルが「民主主義は最悪の政治である。過去に試みられたそれ以外のすべての政治体制を除けばだが」と言ったのは有名ですが、彼の発言は、民主主義を肯定しつつも、民主主義に問題があることを認めています。

 問題の最たるものは、民主主義が衆愚政治に陥りやすいということです。しかし、ハミルトンやトクヴィルは、衆愚政治を越えて、「群衆政治」からファシズムになる危険があると警告しました。事実、20世紀の歴史はそれを裏付けています。

ワシントンのエスタブリッシュメントの責任

 ケーガンの議論については、いくつかの点を検証する必要があります。
まず、ケーガンは、社会的、経済的に疎外感を持った低所得白人層などがトランプを支持していることをあまり重視していませんが、これはトランプ現象の重要な側面ではないでしょうか。それは、社会システムから排除されたと感じ、疎外感を持つ若者が、バーニー・サンダースを支持しているのと共通します。それが正しいとすれば、このような層を生んだワシントンのエスタブリッシュメントに、トランプ現象の大きな責任があります。

 トランプが大統領になると、米国がファシズムになるかどうかについては、ケーガンは、トランプ支持者は今日では有権者の5%だが、大統領になるということは国民の過半数が支持者になるということである、と言っていますが、支持者になる国民の過半数が、5%の人達のような忠誠心をトランプに持っているとは考えられません。したがって、ケーガンが言うような「群衆主義」は杞憂ではないかと思います。

 いずれにしても、これからトランプ旋風が引き続き吹き荒れるのか、本選挙がどうなるのか、注視する必要があります。最新のフォックスニュースの世論調査では、本選でのトランプ支持が45%、クリントン支持が42%と、初めてトランプがリードしました。トランプ大統領は今や現実の可能性となっています。今後の見通しについて、さる米国の有識者は、いま言うとしたらWe shall seeしかない、と述べていました。
  
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