ボーイフレンド&ガールフレンド
注)欧米では恋人のことを会話ではboyfriend,girlfriendという。深く交際している相手や同棲相手を指す。従って日本で一般に言われているようなボーイフレンド=男友達、ガールフレンド=女友達とは全く意味が異なる。
それから数日してレアムとトモヨに巡礼宿で再会した。他に数人の巡礼者も加わりキッチンで自炊した料理を囲んで賑やかに会食した。会食後にレアムは風邪気味ということで先にベッドへ。暖炉の近くのソファーでリラックスしてトモヨさんと久しぶりに日本語で心置きなくおしゃべりをしていた。
ふと彼女が「私の親も気にしているの。8年前に日本で知り合って間もなく両親にレアムを紹介したの。両親もレアムをすぐに気に入ってくれたの。でもそれから8年経っても私はガールフレンドのまま。だから両親は将来の約束はどうなっているのか心配しているのよ。欧米ではボーイフレンド・ガールフレンドのままで何年も一緒に暮らしているのは普通ですけどね」と独り言の様に言った。
私はやっぱりそうかと彼女の言葉の意味を理解した。トモヨさんが日本と欧米の恋愛に対する考え方のギャップに悩んでいることが痛いように理解できた。すなわち、私は過去2年間のバックパッカー体験を通じて『欧米と日本では男女の恋愛と結婚のプロセスが真逆である』ことを知っていたからだ。
つまり日本人は男女ともに真剣に交際しようという相手とは将来結婚することを前提としてお互いの結婚への意識を確認しながら交際を深めて行くのが一般的であろう。しかし欧米ではまず相手をより深く知るためにベッドを共にしたり一緒に暮らしてみて、その結果として結婚に合意するケースもあれば別れるケースもあるというのが一般的プロセスであり、社会全体もそうしたプロセスを当然としているように思う。
旅先で知り合った米国の青年と雑談のなかで「バックパッカー旅行している欧米の若いカップルをたくさん見かけるけど、そのうち何割くらいが将来結婚するのだろうか?」と聞いたら、彼のコメントは「おそらく20%に満たないと思う。僕の友人で学生時代のガールフレンドと最終的に結婚したのは一人だけだ」
それにしても、欧米では試行錯誤を経て結婚にゴールしてもその後の離婚率が高いというのは皮肉である。
⇒第13回へ続く
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