日本景気と市場への影響
英国拠点から欧州展開を、またはその逆を戦略としている企業は少なからず影響を受けるが、景気全体への押し下げ要因としては極めて限定的だ。ただ、為替市場や金融市場を経由した企業収益や金融資産への圧力が深刻だ。開票前の約106円/米ドルから、瞬間約99.31円/米ドル水準まで円高に振れるような状況になっており、3月日銀短観における2016年度企業収益想定為替レートの117.46円/米ドルから大きくかけ離れている。
ここ数カ月、金融機関収益の圧迫を含む「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」による副作用への批判も多く、日銀は政策としてマイナス金利からは遠ざかっているように思えたが、EU離脱は想定外。金融市場における信用収縮を避けるためのマイナス金利の深堀は7月の会合に限らず、臨時会合という手段でもあり得る。東証銀行業株価指数は本日約8%も下落した。
元々企業業績や設備投資に不透明感の強い状況に、上乗せとなる企業収益の圧迫だ。アベノミクス景気に対して急ブレーキが掛かかっている。
国際金融市場としての英国が困難な状況に陥る中、国際金融センター構想の旗を何年も振り続けている東京にとっては二度とない機会が訪れたともいえる。このチャンスを生かす政策に期待したい。