2024年12月23日(月)

マネーの知識

2016年6月25日

 国勢調査によると、ロンドンに住む外国人(海外出生)の比率は2001年の27%から2011年には37%まで増加し、現在は50%に近づいているといわれている。都市部における不動産価格の上昇や一部経済の盛り上がりに貢献してきた英国の国際化(ハブ化)だが、ここにきてその流れが逆行する。

 英国民による投票は欧州連合(EU)離脱が過半の51.89%となり、残留(48.11%)を上回った。欧州地域における各国の連携にとって第二次世界大戦以来の障害・逆行であり、残留派だったキャメロン首相を辞任に追い込んだ(10月までは続投、その後辞意を表明)。

 日本の景気に対する影響はどうなのか?

 どういった点に留意して投資すべきなのか?

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サプライズの背景

 ここ一週間、事前予想は離脱派・残留派共に拮抗しており、調査機関やその推計のタイミングによって見方はまちまちだった。ただ、離脱派の大多数は投票率の高い高齢者が多く、残留派は投票率が低い若年層寄り。なぜ「EU離脱」寄りの想定とならなかったのだろう?

 本日の開票までの5営業日、英ポンド(対米ドル)は3%、英FTSE100指数は5%それぞれ強含み、金スポット価格は若干調整していた。金融市場関係者はむしろ若干「残留」コンセンサスだった。

 ニュースやSNS、そして経済・金融市場における発言者の多くは若年層や、政治・経済についての知識人であり、自らが残留派。EU離脱が引き起こす政治・経済的ダメージを考え、どうしても「まさか」と考えてしまう。

 キャメロン首相だけでなく、メージャー元首相、ブラウン前首相、コービン党首(労働党)、カーン・ロンドン市長、そしてオバマ米大統領を含む世界各国首脳が残留を呼びかけた。一方、移民や経済・財政負担、そして歴史的背景の考慮が支配した離脱派の心境は、定量的に証明しづらく、公の場で声にされることが(残留派と比較すると)少なかったのではないか。

 この環境の中、誰が「絶対に離脱派が勝つ」と投資行動をとれただろうか?もしできたとしても、それは極めて投機に近い。ミスター・ビーンを演じるローワン・アトキンソン氏のいたずらっ子の様な憎たらしい表情が浮かんでくる。


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