英国民の決断であり、内政の問題ではあるが、グローバル化が進んだいま、世界に与える政治的、経済的影響は計り知れない。もはや簡単に後戻りはできず、子や孫の世代にまで大きな禍根を残すことになる。英国人が自分たちは特別だという意識とプライドを持つのは自由だが、そのために世界が振り回されるのは本末転倒である。
24日の東京市場は株価が一時1300円を超える下げ幅となり、リーマンショック時を上回る激しい値動きとなった。円相場も一時、1ドル=99円台に急騰し、1日の振れ幅が7円という過去にない大きさだった。24日の米ダウ平均株価は610ドルも値を下げた。パニック的な動きが世界を駆け巡った。
深刻なコスト負担
今後は週明け27日以降の金融市場がどう動くのかが焦点になる。動揺が消えない場合は、各国が連携した相応の政策対応が必要になってくるだろう。英国が抱えこんだ社会の分裂や背負うコストは深刻だ。果たしてそういう覚悟ができた上での決断だったのか。EUにとっても、これまでの統合プロセスや今後の方向性などを厳しく問い直されることになる。
残念ながら、これまで自分も含めて日本人が英国に抱いていたポジティブなイメージも今後、少なからず変化してゆくだろう。英国は未知の領域に身を投げ入れた。飛び降りた先の闇は限りなく深い。
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