マンハッタンの車の運転が楽な理由は
こうして空っぽになったマンハッタンには、入れ替わりに花火見学の観光客がやってくる。ビジネス街がゴーストタウン化している一方、自由の女神やロックフェラーセンターなど、観光スポットは普段にもまして混雑し、賑わっている。
ついでに言うと、この日はマンハッタンを運転するのに最高の日だ。道路が空いているだけでなく、歩行者たちのマナーが良いのである。
タイムズスクエアあたりで炎天下を歩いているのは、ほぼ100%が観光客。だから赤信号が変わるまで、みんなお行儀良く揃って待っている。ニューヨーカーのように、赤だろうが黄色だろうが信号無視してぱらぱらと道路に出てくる輩がいないので、運転する側にしてみるととても楽なのだ。
居残り組たちのそれぞれの事情
実は、観光客以外にも居残り組がいる。
自家用車にも飛行機も縁がない、お洒落なバカンスをするような経済的な余裕がない暮らしをしている人たちだ。
これが現実的に言うと、ほとんど非白人のマイノリティばかりなのである。
2014年の国税調査によると、白人家庭の平均収入に比べて黒人家庭の収入は70%程度、ヒスパニック系の収入は60%程度だという。これは全米平均なので、マンハッタンのように大金持ちは桁違いという大都会での格差はもっと激しいに違いない。
マンハッタンでもヒスパニック系の多いイーストハーレム、アフリカ系の多いハーレムなどに行くと、ミッドタウンの静けさとは打って変わった賑やかさ。
人々は路上にラジオを持ち出して大きなボリュームでサルサなどを流し、その騒音にも暑さにもめげずに外に椅子を並べて近所の人たちとおしゃべりにいそしんでいる。
セントラルパークなども、芝生の上は子沢山のヒスパニック、アフリカ系の家族連れでいっぱいだ。お金を使わずに、エコノミーにそれぞれ楽しくホリデイを過ごす方法を心得ているのである。