2024年11月23日(土)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2016年7月28日

閉ざされた権力と社会と対話の道

 炎黄春秋の「死」により、体制内知識人は声を出すことがより厳しくなった。同誌は、体制内改革派の立場から、大躍進や文革など過去の独裁政治の誤りを教訓として共産党に対して建設的な道は何なのか、と提示し続けた。習近平はこの体制内知識人の建設的な意見を「異論」と思い込み、耳障りになったのだろう。その結果、炎黄春秋を「死」に至らせた。

 しかしこれによって改革派知識人たちの中で、「改良」の道では中国を変えることはできないと痛感し、より過激な「革命」の道が必要になるという議論が活発になることも予想される。「革命」の道とは体制転換である。もはや中国は、「権力・体制」側と「民間・社会」側が対話するルートは閉ざされつつあるという危機的な状態に陥っているのだ。

 だから改革派知識人は危機感を強めている。一方的な炎黄春秋の接収に抗議する知識人は「『炎黄春秋』違法占領に関する関係部門への呼び掛け」と題した公開書簡を公表した。

 ここにはこう記された。「『炎黄春秋』の歴史は、中国の知識人たちがたどった運命の現実を映し出したものだ」。同誌の廃刊の方向は変わらないだろうが、改革派知識人たちが今後、炎黄春秋の廃刊という「一つの時代の終わり」にどう向き合い、いかに闘いを続けるかという問題は、中国の近い将来を占う上で重要なポイントになり続ける。

  
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