ウォールストリート・ジャーナル紙の6月28日付社説が、同月下旬に行われたハワイ沖での日米韓合同ミサイル防衛演習を中露へのメッセージになったと評価するとともに、日韓が早期にTHAAD(高高度ミサイル防衛システム)を配備するよう促しています。要旨、次の通り。
中国とロシアに米がアジアから出ていくことはないと知らしめる
6月28日にハワイ沖で行われた日米韓による初の三国間ミサイル防衛演習は、自由主義世界を勇気づけた。こういう協力を深化させることが、米とパートナー国を北朝鮮の核から防衛し、中国とロシアに米がアジアから出ていくことはないと知らしめるには不可欠である。
三国間演習は、日韓関係が領土と歴史をめぐる議論で緊張していた数年前には想像しがたいものであった。しかし、北朝鮮からの脅威の増大、東・南シナ海における中国の攻撃的姿勢、それに安倍総理と朴槿恵大統領の政治的手腕により、日韓関係は変わった。2014年、日韓は、長年の議論の末、北朝鮮に関する情報を米経由で交換することに合意した。昨年両国は、いわゆる慰安婦をめぐる長年の不一致を解決した。日本側は、謝罪を繰り返すとともに犠牲者への補償を手配し、韓国側は、解決を「最終的かつ不可逆」なものとした。
中国は、韓国が米製THAADミサイル防衛システムの配備について協議することを非難しており、今回の演習を注視しよう。
中国は、北東アジアにおける米の同盟国が防衛力強化に投資しているのは、中国のクライアントである北朝鮮が原因であることを知っているが、中国は、金正恩に圧力をかけることを躊躇い続けている。6月22日、北朝鮮は、グアムに到達し得る射程2000マイルの中距離弾道ミサイルを発射した。これは、4月以来5回目の中距離ミサイル発射実験であり、1月には核実験を実施、2月には米本土を脅かし得る大陸間弾道ミサイルを発射している。
韓国の安全保障は、THAAD配備の早期決定にかかっている。日本も同じことが必要であり、THAADの強力な迎撃ミサイルにより、2014年に配備した米製Xバンドレーダーを補強すべきである。韓国の当局者が最近言った通り、北東アジアにおけるミサイル防衛の増強は「生か死か」の問題である。そういうわけで、今回の演習は歓迎すべきものである。
出典:‘A Missile-Defense Message for China’(Wall Street Journal, June 28, 2016)
http://www.wsj.com/articles/a-missile-defense-message-for-china-1467130316?mod=wsj_review_&_outlook