2024年7月15日(月)

ネルソン・コラム From ワシントンD.C.

2010年2月1日

 5月という期限は、2010年度の予算案が内閣で最終承認される後というタイミングで決められたのかもしれないが、仮にそうだとしても、これでは鳩山サンが突如、米国に「イエス」と言った場合に民主党の参院選勝利の野望が危うくなるリスクを説明しきれない。

 ともあれ、ここでWEDGE読者のために概略をまとめておこう。

公平な議論のため一言言うと…

 日米双方の評論家はこれまでかなり時間をかけて、日米同盟に関する重要問題に対して民主党が歴史的に取ってきた立場を詳細に分析することができ、今は、民主党の立場が多くの場合、日本国民の世論の変遷を映していたという事実について検証し始めている。

 ほかにも触れておくべきことがある。米国のメディアは今盛んに「プライムタイム」で、タリバンおよびアルカイダと戦うアフガニスタン・パキスタン戦略の一環であるインド洋での給油活動を日本の民主党政権が正式に打ち切る判断を下したことを取り上げている。

 しかし、往々にしてこの批判に埋もれてしまうのは、民主党が「決断」したわけではないという事実だ。給油活動の打ち切りが決まったのは1年以上も前の話であり、その決断を下したのは麻生太郎首相(当時)率いる自民党政権だった。いずれ給油活動が停止されることは誰もが分かっていて、それ自体は意外でも何でもなかった。

 となると、ここで言えることはせいぜい、鳩山政権が麻生政権の決断を承認したという程度だろう。何が言いたいかというと、給油活動という日米同盟の実践的な一側面に異議を唱えているのが民主党だと「非難する」のは正確ではないということだ。

 そして、普天間問題そのものは言うまでもなく、2期にわたるクリントン政権の途中に始まり、10年以上に及ぶ交渉の末にようやく漕ぎ着けた日米合意を何年もほったらかして実行しなかった自民党政権の失態の産物である。

オバマ・チームの対日交渉担当者は、
「出戻り」揃いの皮肉

 また、皮肉なことかもしれないが、「回転ドア」式の米国の政治任用制度を反映して、当初普天間交渉に着手したのは当時国防次官補代理だったカート・キャンベル氏だった。そして今国務次官補となったキャンベル氏は、「2+2」の枠組みの東京会談でウォレス(チップ)・グレグソン国防次官補とともに米国側の代表を務める。

 グレグソン氏自身の経歴もまた、米国の任用制度がいかに機能するかを示すものだ。何しろ彼は沖縄に何年も駐留した経験を持つ元海兵隊中将であり、普天間基地移設を巡る交渉に深く関与した人物だ。

 というわけで、米国政府は日本の民主党政権と「協議」するのであって、最後通牒を突きつけるのではないという米国側の決意が実際どうなっていくのか注目していきたい。願わくば、今後の話の進め方や方向性について同盟パートナー双方が互いに納得し合い、理解が深まる展開を見たいものである。

 この協議にはこれ以上ないほど大きな利害が絡んでおり、一部の問題はこれ以上ないほど根源的な問題なのだから。

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