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2016年9月15日

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日韓共に模索する高付加価値化

 新宿御苑の一帯には、かつて内藤新宿という宿場町があり、江戸時代には風味の豊かな「内藤とうがらし」が薬味用に盛んに栽培されていた。かつて新宿から大久保にかけての土地を真っ赤に染め上げていたと言われる内藤とうがらしだが、後により辛みの強い「鷹の爪」が普及したことで、栽培が途絶えてしまった。

内藤とうがらしプロジェクト代表の成田重行さん

 そんな内藤とうがらしを復活できないかと考えたのが地域開発プロデューサーの成田重行さん(「内藤とうがらしプロジェクト」代表)だった。成田さんは元オムロン常務で、同社で勤務したころは会社をいかに発展させるかと、常に大きいことを考えてきたという。その一方で退職の少し前から「小さいことの面白さを追求したい」と考えるようになり、退職後は全国各地の地域開発に取り組むようになった人物だ。

 地域開発というと、過疎化や高齢化で疲弊した地域が対象になるものと考えがちだが、成田さんは発展の影でその街らしさを失ってしまった新宿にも、地域開発が必要だと考えた。そのために、かつて盛んに栽培された江戸伝統野菜の内藤とうがらしを復活させ、特産にすることで、街に活気と潤いを与えようと考えたのだ。

 幸い種が国立研究開発法人・農産物資源研究所に保存されていたため、数粒を譲り受け、3年間かけて種を増やし、都内の農家に栽培の協力を呼び掛けた。今では都内の18軒が、年間1トンを生産している。

 この「内藤とうがらしプロジェクト」の特徴は、トウガラシを生産するだけでなく、新宿にある飲食店や百貨店、ホテルなどの料理や商品に使ってもらっていること。毎年秋に行う「新宿内藤とうがらしフェア」では新宿伊勢丹や新宿高野本店、新宿中村屋、天ぷら新宿つな八といった有名店が協力店として名を連ねる。内藤とうがらしは地域の特産品として、徐々に認知されるようになってきている。

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