2024年11月22日(金)

海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年9月22日

非言語コミュニケーションの重要性

 2012年米大統領選挙における第1回目のテレビ討論会において、ロムニー元知事から厳しい批判を受けたオバマ大統領は、どもったりうつむいたりして効果的に対応できませんでした。しかも、ロムニー元知事の意見に対して頷いている同大統領の動作が、同意と視聴者に解釈されてしまったのです。実際は、同大統領は傾聴をしていたのです。非言語コミュニケーションは、候補者のパフォーマンスに多大な影響を及ぼします。

 西部コロラド州デンバー大学に設置されたメディア会場で第1回目のテレビ討論会を観察した筆者は、翌日激戦州バージニア州に戻り、ただちに戸別訪問を再開して有権者にフィードバックを求めたのです。有権者はオバマ大統領のパフォーマンスに関して以下のように語っていました。

 「疲れている様子に見えました」

 「エネルギーがありませんでした」

 「熱意がありませんでした」

 ある有権者は、オバマ大統領は単に調子が悪かっただけだと述べ、他の有権者は準備不足が原因だと主張していました。では、今回のテレビ討論会でクリントン候補が疲労している様子を見せ、エネルギーと熱意に欠けていたら有権者はどのように解釈するでしょうか。間違いなく、同候補の健康が原因であると捉えるでしょう。仮に90分の間にせき込む場面があれば、有権者の間に健康を巡る不安が増すことは言うまでもありません。

 第1回目のテレビ討論会におけるクリントン候補の最優先課題は、健康不安の払拭になるでしょう。では討論会でどのようにしてその課題を達成できるのでしょうか。

 非言語コミュニケーションが鍵を握ります。有権者に健康面において安心感を与えるためには、表情と動作がポイントになります。生き生きとした表情をみせ、両腕を広げてダイナミックな動作をとることは極めて重要です。声の強さもタフでエネルギーのあるクリントン候補を演出するうえで不可欠になるでしょう。

 一方、クリントン候補は強さもスタミナもないと健康問題を取りあげて繰り返し批判してきたトランプ候補は、表情と動作を用いて強いリーダーを演出するでしょう。第1回目のテレビ討論会で、筆者はトランプ・クリントン両候補の非言語コミュニケーションに注目しています。

  
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