2024年4月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年10月5日

 この論説は、TPPの批准を求めているオバマを支持する良い議論を展開しています。米国が一番大きな市場を持ち、それゆえに貿易交渉で最も大きな交渉能力を有しているというのはその通りです。しばしばそれを濫用さえしています。したがって、米国に不利な貿易取り決めは出来てこないのが現実です。米国の市場へのアクセスが大事な故に、アジア諸国の方が譲歩しているのだとの指摘は現実を反映しています。トランプは貿易取り決めで米国は不利になっているなど、事実を良く調べないで、被害妄想を振りまいています。

 クリントンとライアンについては、恥知らずと言っていますが、そのとおりでしょう。間違いと知りつつ、世論の流れに迎合しています。議会はTPAでTPPを全体として賛成するかそうしないかの選択しかしないと自ら決めています。個別の規定を云々する立場にはないはずです。サンダース批判も的をついた良い批判です。

 オバマの任期中のTPP批准はかなり難しくなりましたが、ザカリアのような議論がさらになされることは良いことです。トランプもサンダースもクリントンもライアンも、自らの行動が中国を利すること、大政策のアジアへの軸足移動の主要部分をダメにすることを深く自覚してもらいたい気がします。根拠のない被害妄想からは、良い政策は出てきません。

  
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