2024年4月19日(金)

障害と共に生きる~社会で活躍するチャレンジド

2016年10月5日

初瀬:研修や講演、コンサルティング業務を通して、患者と医療者の距離を近づける。そういったサービスを提供する会社ということですね。

 ところで、患者と医者の距離が遠い原因はどこにあるとお考えですか。

鈴木:医療者側の問題として、医者が医療職種のトップだという教育をされ過ぎていることが考えられます。医療に携わる者も先生と呼ぶし、患者にしてもお医者様と呼ぶ人がいるくらいですから、日本ではあたかも医者が偉いかのような風土がある。そこにまず問題があると思っています。

 二つ目の問題は患者側ですが、お医者様に任せておけば治していただけると考えていることです。そんな意識が日本人にはあります。本来病気というのは自分が治すもので、医者を活用するのが患者のあるべき姿なんじゃないかと思うんです。

 我々が夕食の材料をどのお店で買おうかと考えて八百屋や肉屋を選ぶように、病院や医者を選ばなければいけないんです。患者が選ぶという発想にならなければ、医療は変わりません。

 患者側も医療者側もお互いに意識改革をしなければいけないんです。それを我々は、患者側の人間として患者に対して、自分たちは変わらなきゃいけなんだよ、と言っている数少ない会社です。

 これはマスコミも医療者も言えないんですよ、なぜならば、障害者とか患者というのは社会的な弱者であり、守られる、もしくは守るべき存在という認識だからです。

 我々は当事者だからこそ言えることがあり、できることだと思っています。

初瀬:障害を持っていたり、ガンになって様々な気づきがあったり、いろいろな方たちと縁が生まれるうちに患者や障害者の視点から社会をより良くしていこうと患医ねっと㈱を立ち上げて、患者と医療者の意識改革を行っているということですね。

 僕も目が悪くなってから、なぜ自分は目が悪くなったのだろうと考えるようになりました。長崎県の高校を卒業していますが、同級生200名のうち半数近くが医者になるような学校でした。今でも同級生に会ったりすると、僕以外みんな医者だということがあるくらいなんです。

 その中で僕は弁護士になろうと中大法学部に進んだのですが、視力を失ってその道を諦めました。人生の全てを失ったように落ち込んで、外に出ることも怖くなり、周りの人たちの普通に見えている目が憎くなってくるんです。悲しいことに「なんでこいつらは見えて、俺だけが見えないんだ」って思ってしまうんです。そんなときに、中学時代からやっていた柔道に救われて、パラリンピックにも出場することができましたし、別の道に進むことになりました。

鈴木:その気持ちは理解できます。なんで俺がって思うんですよね。悩んで考えて、その意味を求める。だから生きる意味が見えてくると思うんです。


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