基準も示されないままに、仕方がないから自分なりに考えてやってみて、後になって「あれが足りない、ここは意図と違う、そこは当然○○してくれると思っていた」とダメ出しされたら、どんな感じがしますか?
大いにストレスを感じるのではないでしょうか。納得できないし、腹も立ちますよね。
なぜなら、相手が一方的な基準で自分を評価してくると、人は、自分が独立した一個の人格としては尊重してもらえていないと感じるからです。
同じ人からそういった一方的評価を何度も受けると、その人に対する信頼感も薄れてしまいます。「また自分勝手なダメ出しですか。もう好きにしてください」と投げやりになるかもしれませんね。
“基準”を共有すれば喧嘩にならない
さて、親と子の話に戻りましょう。
“ちゃんと”は、危険な言葉であることが、お分かりですね。
親にとっては当たり前の基準でも、子どもがその基準を知らないのなら、後からダメ出しされても納得できるはずがありません。子どもは子どもの基準で「やった」のですから。
だから、チェックリストが役に立つわけです。
例えば、先の親子がこんなリストを作っていたら、どうでしょうか。
□1.宿題とされている内容と問題量を確認する。
□2.教科書とノートを見直して、重要知識を覚え直す。
□3.教科書とノートをふせて、内容を思い出す。
□4.指定の問題を解く。
□5.3分考えても分からない問題には印をつけて次の問題に移る。
□6.自力で解ける問題を一通り解いたら、答え合わせをする。
□7.解けたつもりだったのに間違えていた問題は、自力でもう一度解いてみる。
□8.分からなかった問題は解答・解説・ノート・教科書を見て、考え方と解き方を理解する。分かったことをノートにメモする。
□9.もう一度教科書とノートを見直して頭の中に納まった気がしたら終了。
(親)「宿題はリストの通りに進められた?」
(子)「一応したんだけど、最後の方はちょっと・・・」
(親)「どれどれ。答え合わせまでできていて、解きなおしもしているよね・・・なるほど、教科書をもう一度見直して考えるところからができてないってこと?」
(子)「うん。思ったより時間がかかって、間に合わなかった」
(親)「じゃあ、教科書とノートを見直すことだけして、今日はおしまいにしなさい。でも、今度はどれぐらい時間がかかりそうかを計算して、もう少しうまくやろうね」
(子)「はーい」
という話し方をするかどうかはご家庭それぞれの個性として、少なくともいきなり喧嘩になることはないでしょう。
お互いに基準が見えているので、同じ基準に立って点検するだけだからです。