ルポ・少年院の子どもたち

2016年11月1日

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 市原地区更生保護女性会会長の川口昭子さんは、

 「以前は私にも一般社会における偏見と同じようなものを持ったことがありました。更生保護女性会の活動をしていると、少年院ってどんなところって聞かれることがありますが、園生さんに直接会って話をすると、とても素直に人の話を聞ける子たちで日々更生のために頑張っていますよ。とお返しするんです。みんな優しい表情をしていますからね。どうしてこのような子たちが(少年院に)いるの? と思ってしまうんです。その子の問題というよりも、その子を取り巻く環境がそうさせてしまうのかなと思うんです」

 同席された同会の相川次美さんも「みんな表情が柔らかい」「どうしてここに?」という印象に加え「家族や友達の関係が影響しますからね……」と同じ感想を抱いている。

 筆者が2012年から取材を始めて以来、100人以上の民間(外部)協力者と接してきたが、大半の方々が口にしてきた感想と同じなのだ。

 直接彼らに会ってみると、誰もが最初に思うことは「なぜ君のような子がここにいるんだ」「いったい何があったんだ?」と質したくなるのである。矯正施設の中では個人情報に関する質問ができないため、その思いをぐっと飲み込むしかないのだが、施設を出てからもその疑問が重く胸に残る。

 もちろん様々な少年がいるので一様に、素直で、明るく、柔らかいわけではない。元々の性格もあるだろうし、大人や社会への不信感が表情に表れているような場合もあるだろう。また、表情の明るさや柔らかさというのは、教育過程がどの段階にあるのかによっても大きな変化があるだろうと思われる。

 川口会長は、施設内で行われた成人式に参列した際に「謝りたい。もう2度としない。立派になって親に恩返しがしたい」と涙ながらに誓う姿に胸が締め付けられると言う。ただ、出院後のことを思えば不安は拭えない。

 「教育の力は大きいですよね、顔つきまで優しく変えてしまうのですから。でもここで一生懸命勉強して社会復帰をされても、少年院に入っていたという周りの思い込みや、偏見の目で見られたりしますから、この子たちを社会でどう受け止めてあげられるか、学んだものをどう生かしていけるか、それは地域に住んでいる私たちが立ち直りを助けなきゃいけないんです。それには社会全体が変わっていかないといけません。それが『社会を明るくする運動』(後述)なのです」

 立ち直りに関しては、家族や地域、友人関係などが大きく影響するため、更生保護女性会ではこれからも矯正施設との関わりを大切にしていきたいと考えている。

地域の支援者と一緒に花火を見上げる

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