山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2016年11月4日

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中国のエリートたちの発想とは?

 これらの国営企業の下部組織を経営している企業エリートたちは大変魅力的な人材が多い。経営者としてのスキルも必要だが、いずれ親会社に引き上げられた時のために政治的なスキルも磨いているからである。彼らの意見は大所高所に立った意見が多い。例えば、このような意見である。①米国の評論家の中国に対する悪口は聞き飽きた。②もしも彼らが言うように本当に共産党政権が悪ければ、もうとっくに中国経済は崩壊しているはずだ。③米国の単純な意見は単に理解が足らないだけではないか。④中国のやることなすことにケチをつけるのではなく双方が良いところも認めるべきである、といった調子である。勝手な意見を言わせて貰えば素朴な昔ながらの政治家のような意見である。

 僕が初めて中国を訪れた1979年の中国は今の北朝鮮並みだったが対外開放政策や地方分権化を進めた結果、海外からの投融資も増加し、世界の工場といわれるまでになった。1989年(天安門事件)以降の鄧小平の経済運営も大きな方向性として間違ってはいなかった。あの頃は明るい未来の中国に思いを馳せて良く似た意見交換をしたことを思い出す。

 エリートたちの未来の話は、①中国の1人あたりGDPで7倍を達成すればアメリカを追い越せる。②北京と上海はもとより西安のような二級都市はすでに米国よりも良くなっている。と本気で話すから驚いてしまう。明らかに米国をターゲットにした経済的運営を視野に入れているのだが何故か違和感がある。

 何か僕が1985年に米国に出張した時に「Japan as No.1」などと本気で話していた思い出とかぶる気もしてきた。でも彼らは「中国には夢がある」「我々の工場も従業員とともに夢を共有しているから発展が継続している」「未来の姿も明るいものがあるはずだ」と極めて健全な発想をする次期指導者層が多くいるから心強い限りである。

 だが、なぜか素直に中国を応援できない自分がそこにいたのが何となく気がかりではある。北京や上海などの一級都市は別にして地方に行けば中国は政治の国であり経済の国ではない。今回の出張では現場の経済動向を勉強させて貰った。今後の中国の現政権の運営における経済と政治の舵さばきを注目してゆきたい。

  
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