山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2016年11月4日

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ところ変われば話題も変わる

 上海や杭州の取引先との宴会の席ではしきりに経済問題の話題が中心であった。今回の後半の訪問先は陝西省の西安市と宝鶏市であったが、内陸部に行けばいくほど話題の中心は経済問題から離れて政治問題が中心になっていった。

 今回の訪問先は中国一のチタン工場とモリブデン工場であるが、運営上は国営企業にぶら下がっている子会社である。実際の運営は民間企業と同様の自由裁量を有するが、人事権と利益配分権は共産党の直轄組織である親会社が支配する構造になっている。従って実体は中国流の「親方五星紅旗」である。早い話が損をしても国家が損失補てんしてくれるから気楽なものである。上海や杭州の民間企業は全てが自己責任であるから自然と話題は経済問題になるのだ。西安での宴会での話題の中心は経済ではなく「六中全会」の政治問題が中心となった。中国は広大なのだ。地域ごとに価値観が変わるからこの点を理解しておかないと中国ビジネスは上手く行かないのである。

第18期中央委員会第6回全体会議「六中全会」て何だ?

「六中全会」の様子(現地テレビ中継から筆者撮影)

 六中全会のニュースが宴会の最中に流れていた。六中全会とは中国共産党の中央委員会が、党大会の開催以降、6回目に開く全体会議のことである。西安の友人によると、今回の六中全会では①共産党の管理強化のために党内の監督条件を決定。②党内の民主的な運営を進め集団管理体制を確認。③第19期六中全会に向って新たな目標を決定した。今回の六中全会では目立った決定事はなかったが、気になったのは引き続き「腐敗の撲滅方針」である。経済問題についてはほとんど触れられずに党内の集団管理体制を強調しながらも習近平国家主席の権力基盤を強化することを強調していた。経済にとっては13億人が食えるのかといった昔の概念ではなく、中国には大需要を活かしていくことが強みだと認識をし始めている。

新しい概念は「社会主義自由経済」ではなく「国家資本主義経済」なのだ

 

 中国は今や「国家資本主義経済」である。20年前ならしきりに「社会主義自由経済」といっていたが今は企業の経営理念も大きく変化してきている。多くの企業は名前だけは国営企業であるが、実際の経済活動は一般の民間企業とそれほど違うわけではない。国営企業にぶら下がっているこれらの準国営企業の比率が全国的に増加している。経済活動は確かにこの子会社に任さかされてはいるが、人事権と利益の配分権は共産党組織の親会社が支配しているのである。従って民営企業のような子会社が増えているから自由に見える経済活動が許容されるが、最終的には国営企業の政治力学が働くのである。地方に行けば行くほど経済の話題より政治の話題が中心になるのはこうした企業の構造に原因があると考える次第である。

 また、国家資本主義が推進している一帯一路構想とは、中国西部から中央アジアを経由して欧州につながる「シルクロード経済ベルトと、中国沿岸部からASEANからアラビア半島を経てアフリカ大陸を結ぶ「21世紀海上シルクロード」の二つの地域で、インフラ整備、貿易促進、資金の往来を促進する大構想である。企業のエリート達の大好きな話題である。

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