臓器移植にも影響が出る?
また、日本では想像できない問題点も指摘された。「自動運転が導入され、事故が大幅に減った未来を考えるとき、医療にも変化がもたらされる」というものだ。その理由は「若いドライバーの交通事故死が減少する、ということは臓器提供も減ることを意味する。臓器不全を抱える患者の数は変化しないから、医療の場では移植以外の治療法を早急に見つけ出す必要に迫られるだろう」という。かなりショッキングな指摘ではあるが、これも自動運転の未来の一部なのだ。
センコ氏はエアバスが実際にUberと同様の1人乗りEVやエアタクシーの開発に乗り出している、とも明らかにした。現時点でこれらが実用を認められる可能性は低いが、開発してそこからデータを集め、システムを改良していく、という準備が必要なためだという。同氏によると2018年には貨物や宅配の分野でエアタクシーの実用は可能、20年には人を乗せるエアタクシーが実現しているだろう、と予測する。
また3人のパネリストが口を揃えた点は、こうした技術は「ネットワークに頼らない」という点だ。数年後に自動運転や自動航空機、ドローンを可能にするだけの高速かつ途切れのないインターネット網が実現する可能性は低い。こうした技術はマッピングデータに依存し、リアルタイムでなくともルートの詳細の把握、あとはセンサーによる障害物察知などがメインになる、という考えだ。
確かに交通規制の少ない空の方が自動運転は導入が容易かもしれない。今年1月のCESで中国企業が「人を載せられるドローン」を発表して話題になったが、その考え方を進めればエアタクシーというのは非常に合理的な近未来の交通手段になるかもしれない。
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