鳩山氏は被害者か?
例えば最近、鳩山氏は国会審議で自分を茶化してちょっとしたユーモアにした。もしかしたらアメリカ人は正しくて、「わたしは確かに、言われるとおりちょっと愚か」だったかもしれないと述べた、あれである。
こんなふうなへりくだりで国民につながろうとした、その努力はわからないではないけれど、それもワシントンのメディアにかかると鳩山氏が「とことんズレている("out of it")」ことの更なる証拠とみなされてしまう。これ自体、鳩山氏が置かれた状況をよく物語るものだ。
でもこれを紹介すると少しは癒しになるかと思うが、ここ米国の日本専門家にも、プライベートな場面になると、鳩山氏は被害者だと思うと言う人がいないではない。日本のメディアはいじめをしているという。そして米国メディアは、日本の報道ラインを無思慮に取り上げ、なぞっている、というわけだ。
"loopy" lost in translation?
例えば鳩山氏の「愚かかも」発言については、次のような反応を聞いた。一対一の場で聞いたもので、発言の主は、以前国務省に在籍していたことがある結構高名な人物。以下の引用には、いくつか考えてみていいポイントが含まれている。
「鳩山氏は自分がloopyだと、実のところは認めたわけじゃない。日本語で『oroka』だったかも、とは言ったけど、これはfoolishとかsillyという意味だ」。〔英語のニュアンスとしてloopyは「まったくもって頼りにならない」で、日本語で言う「愚かな」とはやや違う・訳注〕
「意識的にやったんだと思う、鳩山流の、というべきか。orokaには、愚直・正直という意味合いも含まれるからね。考え過ぎだった、というか、そんな意味が、へりくだる中に含まれている。アメリカふう文脈に置き換えたら、彼が言ったのは『ええまあ、今から振り返ってみれば、わたしはたぶんナイーブだった。でも動機は純粋だったんです』といったところだ」。
大金持ちは少し変人。でも代わりの人となると…
「鳩山さんといえばエイリアンのニックネームで有名だけど(こっちの口語で適切な訳語はたぶんspace cadetくらい・原注)、これは彼自身、自分がちょっとエキセントリックなところをよく言い表していると自認しているくらいだからね」。
「まあ日本も米国と同じ、大金持ちっていうのは、あんたやわたしと相当に違うもんでしょ。わたしに言わせれば、アメリカでloopyなのは〔1992年大統領選挙でビル・クリントン、ジョージ・ブッシュ父と争った大富豪の〕ロス・ペローですよ。あの見るからにエキセントリックなところ、ね。けれどペローに全く魅力がなかったかといえばそうでもない。わたしは結局ビル・クリントンに入れたけど、彼のおかげで論戦が勢いづいたよね」。
「本当のところ鳩山氏が何を言いたかったかは、日本の評論家やブロガーたちがこれからもああだこうだといろいろやるでしょう。でもあまり意味はない。あと何カ月かで、鳩山さんは過去の人でしょ」。