――監視されるのが日常茶飯事ですか?自分が盗聴されていることをどのように知るのですか?
周庭:(中国)当局の技術不足なのかはわかりませんが、とても分かりやすいものでした。たとえば携帯電話で話しているときに相手の声がこもって聞こえなかったり、フィードバック音が強かったりします。以前ジョシュアと電話で仕事の話をしていたら、物凄いフィードバック音で相手の声すら聞こえなかったことがありました。それでジョシュアが受話器に向かって「いい加減にしろ、これ以上もう話さないよ!」と怒鳴ったら、なんとそのフィードバック音がなくなり、普通に相手の話が聞こえるようになりました。そういうこともあり、私たちの会議も盗聴されることを前提に進めています。重要な会議では携帯、スマホを持ち込まないことにしているほどです。また、Gメールに『国家級の攻撃を受けています』と警報が来たこともあります。
――正に国家級の脅威ですね…
周庭:入国拒否の事例も沢山あります。例えば私やジョシュアのように矢面に立つ立場ではない、普通の運動参加者や私が所属する学生団体である「学民思潮」のボランティアの人であっても、運動に参加しているというだけで中国本土やマカオに入国できないこともあります。その逆のパターンで、マカオや台湾の社会運動参加者が香港に入れないこともあります。
――数カ月前にジョシュアがマレーシアとタイで入国拒否された事件もありましたね。
周庭:はい。事前に中央政府からジョシュアの訪問について通報があったとされています。ただ、やはり一番辛いのは身内の人に被害が加えられかねないことです。私の身に何が起きても私一人のことで済みますが、周囲には中国で働いている友人もいます。彼らにも影響が及ぶ可能性もあるのです。中国は今、国際的な影響力や経済的影響力が益々強くなっています。国際社会からの圧力にも決して屈しません。中国は今、やろうと思えば何だって出来る状況にあるのです。そのことを私たち香港市民は最も脅威に感じています。結局、中国政府は香港における民主主義に関する議論を全て揉消そうとしています。そのためであればどんな手段も惜しまないのです。それが今回の立法会宣誓問題の発端だと感じます。