立法会議員の宣誓問題
――ここ最近香港の大きな出来事と言えば、最初に出てくるのが立法会宣誓問題だと思います。最終的には中央政府による基本法解釈により、「青年新政」の若手議員2人が議員資格剥奪となりました。その後、「香港衆志」の主席ネイサン・ロー議員の議員資格も現在香港政府の申し出により司法審査されています。この件についてどうお考えですか?
周庭:まず青年新政の2人が議員資格を剥奪された瞬間、次はネイサン・ローの議員資格審査だと予想していました。もちろん「青年新政」の2人があのような宣誓の方法をとったことを好まない方もいらっしゃるかと思われますが、選挙において数万票を獲得している民選議員を、政府は司法手段によってDQ(disqualified、資格剥奪)することが出来るのでしょうか? 香港政府は民主主義をそもそも尊重していないから、このようなことが起きるのです。その上、「一国二制度」の原則があるのですから、中央政府が勝手に基本法解釈をしてはいけません。民意を軽視した香港政府は中央政府の操り人形だと感じます。
今回の法解釈も、表立っては「宣誓内容の不備」が問題とされていますが、実際の目的は違うと考えています。その目的は主権に関する討論、独立や自決を含む全ての討論を排除するということが目的であって、宣誓内容不備の件はただのきっかけにしか過ぎないのです。非民主的な国であるから、今回のような大胆な手段で民主的な選挙結果を覆そうとしているのです。香港社会において、法律は市民にとって公平なものではなく、政権の道具のように思えます。これでは一国二制度の意味がないのではないでしょうか。
――もしこの2人の議員が通常通りの宣誓をしていたとしたら、資格剥奪にはならなかったと思われますか?
周庭:いいえ、どちらにしろ剥奪されたのだと思います。ただ方法と口実を変えて、同じ結果に持っていくだけです。私たちは香港社会における民主主義の実現を訴える「民主自決」を主張していますが、中央政府にとってはこのような意に沿わない政治主張を排除しようとしています。
排除を恐れて伝統的な民主派政党は新たな主張をしないため、民主化を求める盟友が少なくなってきています。そして、次の選挙の時は一体誰が参加できて、誰が参加できないか。その基準が曖昧になり、中央政府の思う通りに立法会がコントロールされるのが大きな懸念です。