――それではあなたたちは香港独立を考えていないのでしょうか?
周庭:先ほども言った通り、独立したとしても必ずしも民主的な状況にはなりません。私たちは立法会での民主化を進行させ、香港の未来を香港人自身が決められるように、その基礎を作りたいと思っています。香港が独立するか否か、それは香港人自身が選ぶことであり、私たちが決めることではないのです。私たちは「未来を自分で決められる状態」を作り上げるだけ、それが「民主自決」です。
――「民主自決」を実現するために、どのような活動を行っていますか?
周庭:やるべきことは多過ぎるほどあります。私たちはこれから政治に関する議題のみではなく、香港の福祉、教育、経済政策に関係する委員会に入り、香港が直面している問題を解決していきたいと思っています。例えば香港で問題になっているのが不動産覇権であり、多くの方が住む場所に困っています。積極的にこのような問題にかかわり、社会が自らの未来に希望が持てるような状況を地道に作り上げることが大事です。
今後の香港はどうなるか
――去年の香港はまさに「波乱万丈」でした。前例のない大きな出来事が次々と起こり、香港の人々も複雑な気持ちであったと思います。そんな中、次期の行政長官選挙も控えていますが、これも踏まえてこれからの香港はどうなるのでしょうか?
周庭:まず行政長官選挙ですが、私は制度が変わらない限り、結果は一緒になると思っています。どちらにしろ、中国政府が見込んだ候補者しか当選できないので、それでは全く意味がないのです。今、街中ではABC(Anyone But not CY)(CYとは現行政長官の梁振英のローマ字表記・Leung Chun-yingの名略称)と言うスローガンが出てきていますが、結局は同じような人が勝つことでしょう。
皆さん、忘れないで下さい。前回の行政長官選挙で「豚(唐英年)を選ぶよりも狼(梁振英)を選んだ方がいい」と言ったのも一般人です。最終的に世論は「見た目がいい」方を支持してしまいますが、その人も裏では中央政府による「任務」を受け持って就任しています。
雨傘運動が終わってから、香港の人々は辛い現実に直面することになりました。政治環境はもちろんのこと、圧倒的な貧富の差、どう頑張っても破れない壁があったのです。そんな中、「他国に移住しよう」と考えた香港人も少なくないでしょう。しかし、その圧倒的な貧富の差のもとでは、一般的な家庭では他国へ移住することなど、到底不可能です。それで残り僅かなものを守るために社会運動に参加する人もいます。私はこのような「移民したいけど出来ない、だから社会運動を守る」と言う人たちに、「香港に希望があるから、ここに残って守ろう」と考えられるようになって貰いたいです。