2024年12月10日(火)

今月の旅指南

2017年2月28日

 戦国時代、武家の一族に生まれながら出家し、画僧の道を歩んだ雪村周継(せっそんしゅうけい)。躍動感に満ちた独自の絵画表現は、琳派の大成者、尾形光琳をはじめ、狩野芳崖(ほうがい)ら近代の日本画家にも強い影響を与えたという。その雪村画の魅力を探る過去最大の回顧展が開催される。

 会場には人物画をはじめ山水画、花鳥画など、海外からの出展も含む主要作品約100件と、関連作品約30件がそろう。

雪村 《呂洞賓図》 1幅
重要文化財 奈良・大和文華館蔵
*展示期間:3/28~4/23

 常陸国(ひたちのくに)(現在の茨城県)出身の雪村は、雪舟に私淑していたといわれる。80歳代後半で没するまで東国を一歩も出ることなく、晩年まで精力的に活動し傑作を生み出していった。

 展示では、初期の修行時代に描いた「風濤図(ふうとうず)」(野村美術館蔵)や、小田原や鎌倉に滞在し独創的な表現法を確立した頃の「琴高仙人(きんこうせんにん)・群仙図(ぐんせんず)」(京都国立博物館蔵)、福島の三春に隠棲した最晩年の「自画像」(大和文華館蔵)など、いずれも重要文化財の名作を画業の歩みとともに鑑賞できる。

 なかでも、龍の頭上に立つ中国の仙人をダイナミックに描いた「呂洞賓図(りょどうひんず)」(重文)は、雪村の絶頂期に描かれた傑作の一つ。「奇想の画家」として名高い伊藤若冲(じゃくちゅう)に先んじること約200年。雪村が「奇想の元祖」といわれるゆえんを知ることができる。

 

●特別展 「雪村─奇想の誕生─」
 <開催日>2017年3月28日~5月21日 *会期中、展示替えあり
 <開催場所>東京都台東区・東京藝術大学大学美術館(山手線上野駅下車)
 <問>☎03(5777)8600
  URL:http://www.geidai.ac.jp/museum/
     http://sesson2017.jp/

*情報は2017年1月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください

  
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◆「ひととき」2017年3月号より

 


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