世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年2月28日

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 上記ヒルの論評には、特に新味はありません。しかし、平凡な論評にならざるを得ないことが却って今日の北の核・ミサイル問題の難しさ、手詰まりを示しています。ヒル自身、良いオプションはなかなかないと正直に述べています。

 政策目的に優先順位をつけることが大事との指摘には同感です。対中経済利益のために北朝鮮に関する対中圧力が犠牲にされてはならないことを示唆しています。トランプ政権に対しては重要な指摘です。同政権には政策目的の優先順位の意識は薄く、すべてが同じ交渉・取引対象であると考えられているような印象を受けるからです。

 金正恩は1月の新年の辞でICBMの発射実験を警告し世界から注目されましたが、実際の行動を見ると、米大統領選挙直前の昨年の10月20日にムスダンを発射して以後は、2月13日の中距離ミサイル実験まで奇妙に挑発を避けていたことが注目されます。予測不可能なトランプ政権の出方を見定めているのでしょう。他方、韓国内政の混乱を見て、挑発は保守の与党側を助け野党側に不利になるのでこれを避ける意図があるとの見方もあります。

北は自信をつけている

 もう一点最近注目されるのは、北が実験の失敗を恐れずに発表するようになっていることです。北が自信をつけていることを示しているのかもしれません。北は失敗をしながら技術を着実に発展させています。

 今後のオプションとしては、①6カ国交渉再開、②米中直接交渉、③軍事ポスチャーの強化、④制裁強化等が考えられます。当面軍事ポスチャーの強化と制裁強化(特に第三者制裁が重要)を検討していくべきと考えられます。しかし、中長期的には、注意深く米朝二国間交渉も検討していくべきではないでしょうか。

 対北交渉に当たっては、何を達成するのかという問題もあります。昨年10月クラッパー米国家情報長官は「北朝鮮を非核化しようという試みは、おそらく見込みはない」と述べ、北朝鮮の核戦力を制限する政策へと方針転換するのが現実的だとの考えを示しました。更に北朝鮮が非核化を行わないのは「(核開発が)生き残るためのチケットだからだ」、「私たちが望むことができるのは(核戦力に)上限を設けることだろう」と主張しました。これらは直截な発言です。

  
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