2022年9月26日(月)

WEDGE REPORT

2017年3月16日

»著者プロフィール
閉じる

田村明子 (たむら・あきこ)

ジャーナリスト

盛岡市生まれ。1977年米国に単身留学し、1980年から現在までニューヨーク在住。著書に『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)、『知的な英語、好かれる英語』(生活人新書)、『女を上げる英会話』(青春出版社)、『聞き上手の英会話』(KADOKAWA/中経出版)など。翻訳書も多数。フィギュアスケートライターとしても知られており、『挑戦者たち-男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』(新潮社)で2018年ミズノスポーツライター賞受賞。

目立たなかった杉原千畝の紹介パネル

 今年のジャパンウィークのウェブを見ると、今回のメインテーマの一つは、杉原千畝氏の紹介だったようだ。第二次世界大戦中、大使としてリトアニアに駐在していた杉原氏は、日本政府の方針に逆らう覚悟で難民ビザを発行し、6000人以上のユダヤ難民の命を救った。「日本のシンドラー」とも呼ばれる人物である。

 訪日観光促進には直接関係ないけれど、これは良い企画だと思った。日本は観光地として安全で清潔、人は親切と高い評価を受ける一方で、移民に関しては前向きの国ではない。アメリカもトランプ政権が暴走中の現在、日本には過去にこうした偉人がいたことを前面に出すのは素晴らしい案だったと思う。

 だが残念なことに、これはアイディア倒れ気味に終わった。実際には展示場の目立たない一角に写真入の説明パネルがあったのみで、目を向ける人はほとんどいなかったと思う。

やはり見くびってはいけない胃袋

 わずか3日間の開催だったためか、全体的に展示物は正直にいえばちょっと貧弱で、石庭も龍安寺のそれを模したというのはかなり苦しいシロモノであった。

 やはりこういうイベントのメインは食べ物がわかりやすく、人間は胃袋に導かれて集まってくるのだと実感させられるジャパン・ウィークだった。

 もっとも昨年の回転すしのように、対応しきれないほどの人が押し寄せて長蛇の列になると、それはそれで参加者に不快な思いをさせる。

 時間がかからない、人を待たせない、数を十分用意できる。そんな条件を満たしてくれる食品関係の出展者をいくつか選抜して、JNTOのほうから積極的に働きかける。そのくらいの下準備はしないと、このジャパン・ウィークの効力を最大限に生かすのは難しいのではないか。

 ニューヨーカーの間での一般的な日本への好感度は高く、ジャパンと銘打っただけでそこそこ人は集まってくる。それだけに、来年はより一層の内容の充実を期待したいと思う。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る