BIG DEAL

2017年4月3日

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 その友人をSさんとしよう。Sさんと私は大手投資銀行で席を並べて仕事した仲である。彼は退職後、ASEANを中心とした不動産投資ビジネスの世界に転身した。成長著しいASEAN各国である。大規模なタウンシップ開発は目白押しであるし、既存の物件でも近隣インフラの整備により価値上昇が見込まれるなど、投資妙味の大きい中でSさんは投資活動を行っているのだ。

 そんな彼を悩ませるのは、「外人価格」の存在だ。不動産ブローカーは買手が外国人だと分かると、高い値段を吹っかけてくるのが常だという。ただ情報の非対称性が著しく、ブローカーの言い値が適正価格からどれだけ乖離しているのか見当がつかないことが多いという。外人価格で購入させられて、地元人価格で売却せざるをえなかったら逆ザヤにもなりかねない重大問題だ。

AIとASEANの不動産

 そこでSさんがやったのが、AIを活用しながら、ASEAN各国における全ての不動産サイトの情報を一元管理することだ。つまり、ASEAN不動産市況の価格ドットコムの作成である。言うは易しであるが、それを実行するのは大変だ。まず言語の問題。英語サイトを運営する業者は少なくないが、そこでの情報はそれこそ外人価格である可能性が高い。現地価格は現地語でしか語られないのである。この読み込みはAIが可能にしてくれる。

 また物件の大きさや金額の単位を正確に認識するのも大変だ。サイトの中には多くの数字が溢れている。面積に関しては坪、平方メートル、スクエアフィートなどの単位があるが、それを的確に読み取って正確な面積情報を導出せねばならない。ちなみに、平方メートル、㎡、Square Meterは全て同じ単位である。

 単純なテキスト識別ではこれらは違ったものとしてカテゴライズされるが、AIであればラーニング機能を用いてそれらが同じものとして処理してくれる。金額も然りだ。100,000円、10万円、100千円、100,000Yen、JPY 100Kは同じものであることを認識しなくてはならない。このような作業をAIにさせることで、SさんはASEAN中の売買情報を集約し、横並びにさせて地図上に表示することに成功した。

 たとえばジャカルタのスディルマン通りにあるコンドミニアムで、2件の売りがあるとしよう。業者Xは805号室を50万円/㎡で、業者Yは709号室を30万円/㎡で売り出している。同じコンドミニアムの1階違いでこのような差異は大きい。もし隣のブロックにあるコンドミニアムで28万円/㎡の売り情報が取れれば、業者Xの提示価格は明らかにおかしいことになる。

 Sさんの仕組みでは、これら業者が複数言語の情報を提示していたとしても、言語によって価格の差異がないかまで瞬時に把握することが可能なのである。価格は需要と供給に応じて日々変化するが、彼のシステムはその変化をオンタイムに反映して利用者に提供することができる。目下SさんとAIは、ASEANを超えて世界中の不動産売買サイトにアクセスを開始している。そんなSさんのビジネスサイトが以下である。まだソフトローンチであるとしているが、是非訪問していただければと思う。

https://property-db.com

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