中国が蔡英文政権に加えている経済・政治面での圧迫を良く描写している論説です。外交休戦の停止、国際機関での台湾の参加拒否なども問題ですが、中国が経済的な圧力を加え、「一つの中国」を認めさせようという動きには、特に警戒すべきです。
台湾が現状のままに事実上独立した状態にあることが、北東アジアの平和と安定のために重要です。そして、この現状を維持するためには、現在の民進党、蔡英文政権が成功し、継続することが重要です。中国国民党が政権に復帰することがないように、日米は蔡英文政権を支持していくべきでしょう。
ASEAN諸国に期待しても、失望させられる可能性
ASEAN諸国も中国の経済的圧迫にさらされる危険がありますから、中国の経済的な圧力や強制には反発してくれればよいのですが、中国は分断策が得意であり、ASEAN諸国も足並みが乱れがちです。フォンテインの対中共同対処論は望ましいことですが、あまり多くをASEAN諸国に期待しても、失望させられる可能性があります。
蔡英文政権は、対中経済依存度をできる限り下げていくことを目指しています。経済的関係は互恵関係ですが、中国は国家主導経済であり、経済関係を政治的に利用し得る立場にあります。したがって警戒心が必要です。
蔡英文政権は「南方政策」で対中経済依存度を下げようとしています。日本企業が南方に投資する台湾企業と合弁を組み、日本がそのような企業にいざという時に外交的保護権を行使し得る用意をしておくなど、協力する余地もあるでしょう。フォンテインが言うように、台湾は日米との経済関係の深化を今以上に目指すべきでしょう。米台、日台のFTAの締結には、中国の反対もあり得ます。形式にとらわれず、実質的に関係を強められれば良いのではないでしょうか。
中国が経済的な強要手段で特定の国を狙い撃っている場合、WTO違反に当たる場合があると思われます。そういう場合には、経済関係での法の支配の確立を重視し、WTOの紛争解決手続きに中国を訴えていくことを考えるべきです。尖閣問題に関連してレアアースの対日輸出禁止がありましたが、日本などがWTOに提訴し、中国敗訴になりました。
中国はこれからも台湾に色々な圧力を加えてくるでしょう。台湾側の希望をよく聞いて支援していくのが日本の政策の基本であるべきです。
台湾以外の地域諸国に対しても、中国は、経済的懲罰の圧力を今後も使ってくるでしょう。こういう中国の振舞いには屈服せず反発すること、中国に強引な政策のコストを知らしめることが、中国の覇権主義の萌芽を止めるために必要です。
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