Wedge REPORT

2017年6月11日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

Q 復帰プログラムを成功させるための鍵は何か

ながい・ようすけ 1991年神奈川県生まれ。早稲田大学在学中にソマリアの大飢饉と紛争を知り、2011年にソマリアに特化したNGO「日本ソマリア青年機構」を設立、16年英国のロンドン・スクールオブ・エコノミクスの紛争研究修士課程を卒業。今年4月3日に社会人も含めた仲間と一緒に、ソマリアを中心としたテロ・紛争の解決に取り組むNPO法人「アクセプト・インターナショナル」を設立した。6月には再度、ソマリアに行く予定

A ソマリアでは、ソマリア政府と国連と協力して、アルシャバブから降参した人に対する脱過激化とリハビリのプログラムをサポートしている。問題の一つは脱過激化・社会復帰プログラムで更生できても、外に出ると仕返しをしようと狙うアルシャバブやギャングが待ち構えていること。実際にその犠牲になったことも聞いている。例えば、アルシャバブは脱会したものは裏切り者として憎んでいたりする。このため、更生した彼らを受け入れる側にもリスクがある。ソマリア政府はこれに対して支援はしてきているが、とてもじゃないがまだ十分ではない。しかし、更生した彼らが生きていかなければ、このプログラムは失敗したことになるし、紛争もなくならない。何とかプログラムを成功させていかなければならない。

Q ソマリア政府や国連と、どのようにつなぎを取ったのか

A 我々の活動の意義を理解してくれる人が国連やアフリカ連合にはたくさんいたし、ソマリア政府へのつなぎは国連がサポートしてくれた。ギャングの脱過激化&社会復帰支援の取り組みが国連などに評価されたからだと思う。あとはメンバーの1人の親族がアフリカ連合の関係者だったということもある。

Q 大学を卒業した永井代表が、危険の多い現地で活動するためにどのようなトレーニングを受けてきたのか

A 英国では陸軍のセキュリティトレーニング、ソマリアではアフリカ連合のセキュリティブリーフィングを受けた。また、昨年2月にはガーナのPKOセンターで国連職員用の武装解除研修に参加し修了した経験がある。現場では最低限のプロと認識はされている。

Q これまでの支援活動は、永井代表が強力に組織を引っ張ってきていたものの、これからは「アクセプト・インターナショナル」として組織的な活動が求められるが

A そもそも2011年からの5年間、私1人でやってきた活動では決してない。裏では多くのメンバーが頑張っていて、すべての成果は我々全員で達成したもの。「アクセプト・インターナショナル」になってから、加入したいと応募してくる人はさらに増えた。現在は約50名となった。日本全国、イギリスからも加入者がいる。活動自体は事業部に分かれており、私個人の活動ではない。海外事業局に則して言えば、私がしているソマリアの活動は、あくまでソマリア事業部としての活動をしている。このほかに、ケニア、ウィグル、ナイジェリアなどの地域ごとの事業部があり、それぞれの地域担当者が現地で活動をしている。

Q ソマリアでの活動に対する国際的な支援はないのか

A アフリカ連合や国連、そしてトルコや欧米諸国などから支援が大きい。ソマリア政府はまだ弱体なので、あまり期待できない。JICA(国際協力機構)も応援はしてくれているが、日本政府は大使館を置いていない。外交手続きはケニアで行っている。

Q 活動資金はどのようにしているのか

A これまでは助成金ベースで資金を集めてきた。これからはある程度寄付モデルの運営になる。初年度年間予算は1500万ほどだが、この額でもできることはいくらでもある。例えば5億円あればやりたいこと全部できるか? と言われても恐らくノーだ。基本的に、ニーズを見つつ、持てる予算で最大限価値あることをやっていく。最低限1000万くらいあれば満足いくプロジェクトは組める。もちろん今後さらに予算は拡大するべく努力はしていく。

 寄付に関しては日本国内だけでなく英国や米国などテロ対策が盛んな国でも展開する予定。また、国内で収益事業を実施する予定だ。組織の代表として、この難関をしっかり乗り越えていきたい。

  
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