2022年10月1日(土)

メイドインニッポン漫遊録 「ひととき」より

2017年6月5日

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いであつし (いで・あつし)

コラムニスト

1961年、静岡県生まれ。コピーライター、「ポパイ」編集部を経て、コラムニストに。共著に『“ナウ”のトリセツ いであつし&綿谷画伯の勝手な流行事典 長い?短い?“イマどき”の賞味期限』(世界文化社)など。
 

(写真上)自然な衿のラインを作りながら縫うために湾曲した特注の台がついたミシン
(写真下)上衿の縫い方を解説する工場長の竹長さんの手。職人の手だ

夢は人吉にシャツの博物館

 工場のシャツの製造工程は大きく裁断、縫製、仕上げ部門に分かれている。縫製は衿ライン、袖ライン、カフスライン、後ろ身頃、前身頃とさらに細かく分かれていて、社名の入った揃いのTシャツを着た社員たちがミシンをリズミカルに踏む音や、手際よくアイロンをかける音などがせわしなく聞こえてくる。

 物静かな竹長さんががぜん熱く解説してくれたのが、シャツの顔でもある衿ラインだ。衿部分の生地を表側と裏側でわずか5ミリ長さを違えて円筒型に縫製することで、洗濯しても首のラインに沿って自然にカーブした美しい台衿ができるのだ。人がミシンを使ってしかできないまさに職人技なのである。

 他にも、運針と呼ばれる縫製のステッチ数は一般のシャツが3センチ間に15~18針なのに対して24針。脇の裏側は縫い代が出ない巻き伏せ本縫い、ジャケットのように身頃を前に少しずらして立体裁断した袖付けなどなど。HITOYOSHIのオリジナルシャツは、随所に手間隙をかけている。

 さて、シャツを知りつくした吉國社長の次なる野望は、工場の隣に来場者がその場でオーダーメイドもできるシャツの博物館を建てて、人吉に世界中からお洒落な人たちをおもてなしすること。実はもうその準備は着々と進んでいるんだとか。やっぱり熊本はわさもんのくになのだ。

(写真右)HITOYOSHIご愛用のレストラン、Kura‐倉café。左の眺めを背景に食事が楽しめる。☎0966(28)3080
(写真左)川は球磨川

(写真・阿部吉泰)

●HITOYOSHI株式会社
<所在地>熊本県人吉市鬼木町1751-1
<URL>http://hitoyoshicorp.com
●東京オフィス
<所在地>東京都港区南青山5-4-29レジーナ南青山101

  
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◆「ひととき」2017年5月号より

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