住民の多国籍化は行政サービスの場面でも影響が出ている。特に5年で5倍の1200人に急増したベトナム人の対応が喫緊の課題となっている。市は通訳派遣のサービスを用意しているが、「登録ボランティア170人の大半が英語と中国語の対応で、ベトナム語を話せるスタッフは数人しかおらず、依頼に対応しきれない」(文化観光局国際課・渡邊美知子氏)状態が続く。
そこで、通訳がいなくても行政サービスを提供できるように多言語化を進めている。今春から乳幼児健診の問診票や予防接種の説明パネルなどにベトナム語版を導入した。しかし、今後のさらなる多国籍化を見据えると、「外国人住民には読み書きと日常会話レベルの日本語を習得してもらいたい。行政側も難解な役所言葉を見直し、やさしい日本語での情報発信や説明に取り組む」(国際課・韓昌一氏)と、「言葉の壁」を双方で下げる必要性を指摘する。
しかし、肝心の日本語教育は市民ボランティアに頼りきっているのが実情だ。外国人の流入が加速する中、「言葉の壁」をどう乗り越えるか。国と地方はこの難題に本腰を入れて取り組まなければならない。
写真・Wedge
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