サムライ弁護士の一刀両断

2017年6月15日

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教室内の演奏は公の演奏か? 営利性は?

 さて、音楽教室での演奏はどうでしょうか。

 音楽教室の講師が、生徒に対してお手本のために演奏したり、生徒が練習のために演奏したりすることは、著作権法にいうところの「演奏」にあたります。問題はそれが「公の演奏」であり、かつ、「営利性のある演奏」といえるかどうかです。

 まず、「公の演奏」といえるかどうかは、「不特定の相手に演奏を聞かせているか、一定の限られた相手であっても多数かどうか」によって判断されます。

 音楽教室の講師がお手本として演奏する場合、それを聞くのは教室に通う限られた生徒だけでしょうから不特定または多数に聞かせる目的があると言えるかには疑問があります。そもそも、音楽を楽しむために「聞かせて」いるわけではないので、ごく一般的な感覚としても違和感があります。

 もっとも、判例の中には「カラオケ店が客にカラオケを歌わせる場合も、経営者の視点からすると不特定多数に向けた演奏といえる」とする趣旨のものもあります。音楽教室内の限られた範囲での演奏であっても「不特定または多数に聞かせる目的がある」と判断される可能性もまだ否定できません。

 次に、「営利性」については、講師は生徒に演奏の技術を教えるために演奏するのであって、演奏を聴かせることそれ自体からお金を取ろうとしているわけではありません。

 もっとも、多くの音楽教室は生徒から月謝を受けて成り立っていますし、講師に対しても謝礼や給与の形で報酬が支払われているでしょう。そうすると、「音楽教室による演奏には営利性がある」と判断される可能性も全くないわけではなさそうです。

 以上の通り、音楽教室での演奏が使用料徴収の対象となるかどうかについて、法解釈の面では微妙な問題が含まれています。

 今後、訴訟が提起された場合に、裁判所がどう判断するのかを見通すのはなかなか容易ではありません。

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