2024年11月22日(金)

前向きに読み解く経済の裏側

2017年6月26日

ゼロ金利時代は預金部門が赤字。ましてマイナス金利だと……

 通常であれば、銀行は預金を集めれば利益になります。銀行によって、貸出が預金より多いならば他行から金利を払って金を借りてくるわけですが、預金を集めれば他行からの借金を減らせるからです。預金の方が貸出より多い銀行ならば、更に預金が集まった場合には他行に貸し出して金利を受け取ることができます。いずれにしても、預金を集めれば銀行の収益は改善するのです。

 銀行内部では、「部門別損益」を計算しています。預金部門から経理部が資金を預かって、預金部門に金利を支払ったことにして、貸出部門は経理部から資金を借りて、その分の金利を経理部門に支払ったことにするのです。

 預金部門は経理部から受け取った金利の中から預金部門のコスト(顧客に支払う預金利息、人件費、諸費用等)を支払ったことにして、差し引きの損益を計算しているのです。あたかも預金部長が「預金子会社」の社長になったような感じですね。

 経理部が預金部門に支払ったことにする金利は、銀行間で貸し借りが行なわれている金利です。これは、主に日銀の金融政策で決まっていますから、金融の引き締めが行なわれると預金部門の収入が大きく増えることになります。一方で、預金部門の支出は、それほど変化しません。人件費や諸費用はほとんど変動しませんし、顧客に支払う預金利息も銀行間金利ほどは変動しないのです。そこで、金融が引き締められると預金部門の収益は大幅に改善します。

 一方、今のように金融が超緩和されていると、預金部門は苦しいです。銀行間金利がゼロ(日銀のマイナス金利政策以降はマイナス)ですから、預金部は経理部から利息が受け取れません(今は支払っているかも)。一方で、人件費や諸コストは確実にかかりますから、預金部門は大赤字なのです。

ゼロ金利が続き、低成長が続くと、非常に苦しい地銀

 上記のように、地銀のメインビジネス(預金と貸出)は、非常に苦しい状況となっています。貸出部門は、貸出残高が減って金利が下がってダブルパンチですし、預金部門はゼロ金利時代で赤字です。

 経済が成長して設備投資が増えて貸出残高が増えるか、少子高齢化による労働力不足で省力化投資が増えて融資残高が増えるか、インフレ率が2%を上回って日銀の超緩和が終了するか、いずれかが早く実現することを祈るばかりです。

  
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